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プログラムのひみつ 教えない。体験して気づく。

この記事のPOINT

・教えない。「体験して気づく」をサポートする。
・体験して気づくってどうやって?
・この学びの鍵は「他者」とのやりとり。

FREE CAMP代表 野田れお

教えない。体験して気づく。

僕らはプログラム中に、何かを「教える」ことで「成長」させようとは考えていません。

もちろん、リスクに対する知識やスキルなど教えるタイミングはありますが、あくまで、僕らももっと面白くその場にいるため。

では逆に、参加してくれているその子の「成長」をまったく意図していないかというと、そうではないです。

参加し「体験し、気づく」ことで、成長してほしいと思っています。

では、「体験して、気づく」ってどうやって?

このプロセスの鍵は、人と人とのやりとり。
「他者」の存在です。

野外研修での出来事

「体験して気づく」というプロセスを体験してみることを目的に、学生スタッフの野外研修を実施しています。

2024年は
・宝満山から若杉山を2泊3日で往復
・テントや食料などはすべて担いで
・6,7名をひとグループに

学生たちには、
全員がやりきった!と気持ちよくゴールすることを目指して。
と伝えてスタート。

当然、体力の差も、山歩きの経験の差もあります。
安全面リスクに対する評価の差も、不快の感度の差も出てきます。

余裕がある時は、相手の意見を聞き入れたり、「そういうことね、OK!」としやすい。

余裕がなくなってくると、相手の些細な言動が気になったり、ムカついたり、納得できなかったり。

このストレスが気づきの始まり。

あるグループが、
結果的に雷雨の中、稜線を歩くことに。

このチームは遠慮や配慮もあって、チームの決定を特定の一人か二人に任せる傾向があり。
(このチームだけ、最も遅く出発しているのに毎回山頂に立ち寄るという判断をしている。など)

自分のことやグループのことを、本当に全員がコミットして判断していない。かも。

と感じたので、僕は強めに指摘しました。

「なんでこのチームだけリスクを冒して雷雨の中、稜線を歩くことになってるの?」

「他のチームはすでにキャンプ地に着いて安全を確保できてるよ?」

「危ないし、サポートする側としては怖い。リスクを回避するために全員がベストを尽くしているようには見えないけどどう?」

「他者」である僕の自己開示と現状へのフィードバック。

自分たち(彼ら彼女ら)としては予定通りの時間だし、
なんでそんなに強くし指摘されなきゃ行けないんだ。
ムカつく。
みたいな反応もあれば、
確かに任せていて自分がベストを尽くしていないかも…という反応も。

この例は、僕が「他者」となった例。

他者が重要になってくるわけ

「体験して気づく」ことに他者が重要なわけを2つの理論で説明しています。

グループダイナミクス(タックマンモデル)

※参考 https://dezaiken.com/?p=434

チームが形成されてから、機能するまでには、混乱が必要。
つまり、チームとして何かを達成するためには、自分も相手も心地の悪い状態を経ないとうまくいかない。という理論です。

思っていることをちゃんと伝え合う喧嘩を経て、仲が良くなる。といったことは、経験的に理解はできる方が多いのでは..

❷ 自己開示とフィードバック

自分の気持ちや状況を伝えることを「自己開示」と、他者に何かを伝えること、あるいは他者から伝えてもらうことを「フィードバック」と呼んでいます。

※参考 https://nikken-career.jp/special/4919/

自己開示=秘密が開放
相手の些細な言動が気になったり、ムカついたり、納得できなかったり。その時に、
自分の気持ちや状況を伝えること(自己開示)で、
「秘密(自分だけが知る)」の領域が狭くなります。

自分の本当の気持ちは、周りの人はわからないものなので、伝えることで「そういうことだったのね」となります。

・フィードバック=盲点が開放
相手からのフィードバックを受けることで、「盲点(他人だけが知る)」の領域が狭くなります。

自分には見えていなかった部分なので、「そういうことだったのね」となります。

・自己開示&フィードバック→未知の開放
そうして、「未知(誰も知らない)」だった領域が開放されていきます。

「そういうことだったのね」が、重なり「未知」が開放されると…
例えば、「じゃあ、こうしたらどうだろ?」という新しい提案を生んだり、「うわ、ってことはこういうことだ…」という新しい発見があったりします。

そして、これが「気づき」です。

↑実際の学生スタッフ研修のホワイトボード

チームで何かを達成しようとするためには「混乱期」が必要であること。
伝えたり、伝えられたりすることで新たな気づきが生まれること。

以上のことから、「体験して気づく」というプロセスに、「他者」が重要になってくるのです。

体験して気づくということ

他者とのやりとり(自己開示やフィードバック)が、体験して気づくということの重要な要素。

でも…
自己開示もフィードバックも、「そういうことだったのね。」みたいな穏やかなリアクションではなく、

「は?」「なにそれ?」とムカついたり、
がっかりしたり、傷ついたり、
悲しくなったりすることもあり…

とても難しい。

だから、基本的には、自己開示もフィードバックもしたくないし、避けがちです。
そこを乗り越えるほどの達成したいことがないと、大人はやらない。

先述の学生スタッフ野外研修では、

自己開示する、フィードバックすることの難しさを再確認していた様子。

やっぱり伝えるのは怖い。
どんな反応が来るかわからないし…

れおに言われてムカついたけど、ムカついてる自分が嫌だったり、ムカついていることを表明できなかったり…

他にも、グループの中での葛藤はたくさん起きていました。

コロナ禍で中学生・高校生の時期を過ごした今の学生は、特に他者との距離は遠い気がします。

また「相手の気持ちを考えなさい」という教育を真面目に受けてきた人ほど、伝えられない(自己開示できない)傾向があります。

伝えていい。

まずは下手くそでも伝えてみないと、上手に伝えられるようになるわけがない。

子どもたちはどうか

子どもたち(特に低学年)は全力でものごとに取り組めることが多いです。

泣いて怒って、いじけて、相手に不満をぶつけて、一生懸命に自己開示してくれることが多い。

それだけで、尊敬に値します。

言い返す、やり返す、言われて泣く、いじける、怒る…どこかに行ってしまう。
フィードバックもたくさん。

さらに尊敬。

そう、子どもたちは成長の仕方を知っていて、どんどんチャレンジしています。

自己開示もフィードバックもしない陰気な大人たちより、素直に居られる子どもたちの方が、よっぽど成長は速いわけです。

そして、僕ら大人は、これらのやりとりを「失敗」「やらなきゃよかったこと」と認知させたくない。

だから、僕らの活動中に「喧嘩はダメ」とは言わない。それは全力の自己開示とフィードバックの結果だから。
「相手の気持ちを考えて、我慢しなさい」とも言わない。相手の気持ちは聞いてみないとわからないから、聞いてきたらいいし、その上でどうするかは、あなたが決めたらいい。

もちろん、自己開示もフィードバックも、
相手を傷つけたいわけじゃないので、相手を傷つけずにできるスキルを身につける方がいい。

でもそれは、何度もやってみないと上手くならない。

だから、僕らがプログラム中にやるのは、
・聴く
・伝えることをサポートする
・自分も伝える
+安全管理

人と人のやりとりの中で育つ

教えるのではなく、体験して気づくことでの成長。
そのために重要になってくるのは「他者」。
自己開示とフィードバックが気づきをつくる。

僕らはそこをサポートしていきたい。が、そもそも大人が、大人こそ、自己開示もフィードバックも苦手。

だから、結局僕らも、一緒に成長する必要ある。

そんなことを考えながらプログラムを運営しています。

応援するよ!という方はぜひ、
サポーターになってください。

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