暑さ対策|熱中症のメカニズムと対策

夏本番、サマーキャンプを楽しみにしているお子さんと同じくらい、
保護者の皆さまが気になっているのが「暑さ」と「熱中症」ではないでしょうか。
FREE CAMPでは、毎年夏だけで200名ほどの参加者を向かい入れ、アウトドアでの体験づくりをしています。
熱中症については「なんとなく気をつける」ではなく、
スタッフ一同、まずは体の中で何が起きているのかという仕組みから理解した上で、対策を組み立てるようにしています。
今日は、その考え方を少し丁寧にご紹介させてください。

熱中症が起こるメカニズム
まず知っておいていただきたいのは、私たちの体には、暑さに対抗するための冷却システムが2つ備わっているということです。
ひとつは「血管拡張」。
暑くなると皮膚のすぐ下にある血管が広がり、体の内側の熱を血流にのせて表面まで運び、そこから空気中へ逃がします(放射熱)。
もうひとつは「発汗」。
汗が肌の上で蒸発するときに、周りの熱を奪っていく仕組みです(気化熱)。
この2つの冷却システムがバランスよく働いている間は、体温は平熱に保たれます。
正常時:2つの冷却システムでバランスが取れている
① 血管拡張(放射熱) 皮膚の血管を広げて 体内の熱を外に逃がす
② 発汗(気化熱) 汗が蒸発するときに 周囲の熱を奪う
冷却システムが崩れると…体温上昇へ
この仕組みが崩れて、体温が上がり続けてしまうルートは、実は2つあります。
▼熱中症が起こるメカニズム
ルート1:脱水によって、冷却システムそのものが機能しなくなる
汗をかくにはもちろん体内の水分が必要です。水分が不足していくと、発汗という冷却システムの「材料」が足りなくなり、体が冷えにくくなっていきます。これがいわゆる熱疲労のはじまりです。
ルート2:気温や運動強度が、冷却システムの処理能力を超えてしまう
一方で、たとえ水分をしっかり摂っていても、気温があまりに高かったり、運動量が多すぎたりすると、体が作り出す熱の量そのものが、血管拡張と発汗による放熱の限界を超えてしまうことがあります。冷却システムが正常でも、追いつかない状態です。

つまり、水分や塩分をきちんと摂っていても、熱中症(熱射病)は発症しうるということです。ちなみに体温が40.5℃を超えると熱射病と呼ばれる重篤な状態に進み、42℃を超えると体内の酵素やタンパク質が変性しはじめ、複数の臓器に一気に負担がかかるとも言われています。
もうひとつ同時に気を付けておく必要があるのが、低ナトリウム症です。
熱中症対策として水だけを大量に摂り続けると、今度は体内の電解質(塩分)濃度が薄まってしまい、低ナトリウム症という状態になり、重篤な場合は死に至ります。
つまり、高温状態による問題は熱中症だけでないと理解する必要があります。
そのため、私たちは、水分補給と合わせて、必ず塩分補給もセットで行うようにしています。こうした体の仕組みを踏まえたうえで、私たちは水分補給だけに頼らない、多面的な対策を行っています。
FREE CAMPの熱中症対策
体調管理・早期発見の仕組み
- 定期的な水分・塩分補給
- 定期的な休息タイムの確保
- 体温を含む、定期的な体調チェック
- 食事・トイレ・睡眠まで含めた体調管理を、少人数のグループ制で24時間体制で把握
一人ひとりの小さな変化に気づけるよう、少人数のグループ制をとっていて、早期発見・早期予防につなげています。
特に小さな子どもたちは、遊びや活動に夢中で、水分を摂りそびれていたり、自身の体調の変化に気づかなかったりします。
自由に、主体的な活動を進めつつ、安全管理の部分はシステマチックに。
子ども自身もスタッフサイドも「人はミスをする」ことを前提にルールと制度で、早期発見と対応できる体制にしています。

暑さそのものを軽減する工夫
- 日中は水プログラムを積極的に実施(川や海での活動、水鉄砲などで体に水をかける)
- テントは風通しの良い蚊帳タイプを採用
- サーキュレーターを活用し、空気の流れをつくる
体を冷やす、というより、そもそも暑さにさらされる時間や強度そのものを減らす工夫です。

もしもの時の備え
- 冷房の効いた施設への避難ルートを確保
- 緊急搬送体制を事前に確保
万が一の初期対応から搬送まで、動ける状態を常に整えています。
専門知識を持ったスタッフが常駐
FREE CAMPには、都市型の救急対応であるMFA(Medical First Aid)、そして野外での救急対応であるWFA(Wilderness First Aid)の資格を持ったスタッフが常駐しています。今回ご紹介したような体の仕組みへの理解を土台に、日々の体調チェックからもしもの時の対応まで、判断を積み重ねています。

そして、これが最も重要かも…
「熱順化」、とても大切です!
そしてもうひとつ、意外と見落とされがちなのが「熱順化」です。
これは体を少しずつ暑さに慣らしていくことを指します。
急に強い暑さにさらされては、先ほどご紹介した冷却システムがスムーズに働きません。
当日、もちろん、休息をとりながら活動しますが…どれだけ水分と塩分をとっても、冷却システムが間に合わなければ意味がありません。
事前に体を慣らしておくことが重要です。
ご家庭でも、キャンプ前から少しずつ屋外で体を動かす時間を作ることをお勧めします。
暑さは決して侮れないものですが、仕組みを理解して備えを重ねれば、
リスクはしっかり減らせます。
ご理解とご協力をお願いします。

FREE CAMP代表 野田れお